My history Chapter-03
 「ブレードランナー」 に衝撃を受ける

当時のチケット(保存状態良好)
1982年のことです。
ついに私の人生の転機が訪れます。
映画 「ブレードランナー」 との出会いです。知る人ぞ知るSF映画の永久欠番的傑作です。(今ではカルトムービー化していますが…)。
個人的には過去に見たSF映画の中でベスト1の作品です。いや,あらゆる映画の中でもトップクラスのお気に入りです。

思い返せば大学生の頃,SF雑誌スターログの記事で初めて情報を目にしたときから特別な期待感を抱きました。なぜなら,私の好きな要素が集まっていたのです。

私が期待を抱いた4大要素
監督…リドリー・スコット
主演…ハリソン・フォード
音楽…ヴァンゲリス
美術…シド・ミード

別の映画を見に行ったときに流れた予告編を見て身体に電気が走り,私の期待感は増すばかりでした。当時は大学生として京都に住んでいたので,京都の映画館で前売り券を買って公開日を指折り数えて待っていました。
ところが…一つ前の映画が大ヒットしたものだから上映するはずの映画館が予定を変更して,いつまでたっても公開されません。とうとう待ちきれなくなって,大阪の梅田まで快速電車でひとっ走りし,ようやく鑑賞できたのでした。

重々しいオープニングから圧倒されまくり,期待以上の素晴らしさに,そのまま2回連続で見ました。(途中で意味不明な同時上映作品があったので約5時間30分ほど座りっぱなしでした)
映画館から出るとき,あるカップルの会話 「軽いSFアクションかと思ってたのに,えらい重たい映画やったね…(沈黙)」 が聞こえてきました。マスコミのチープな宣伝の影響で,勘違いして見に来た人が戸惑っていたようです。
チープな新聞広告(誇大広告気味なので誤解を招いた…)

映画館を出ると雨…。
大阪の梅田の街並みがブレードランナーの都市のように見えました。で,立ち食いうどん屋があったので思わずデッカードになった気分で食べました(笑)。
この日以降,私はあらゆる雑誌から 「ブレードランナー」 の記事を切り抜き,スクラップブックに収集しました。
また,洋書店で見つけた日本で未発売の関連書籍も購入しました。
その中には原作 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』 のペーパーバックもありました。
ところが…「ブレードランナー」 は評論家やミーハーな映画ファンからはまったく理解もされず評価も散々なものでした…。
挙げ句の果てに,同じ時期に公開されていた 「メガフォース」 なんていうおバカ映画とライバル関係にされる始末…。
興行的には失敗に終わり,いつのまにか表舞台から消えてしまったのでした…。


スクラップブックにコレクションしたお宝資料の一部

音楽が私の大好きなヴァンゲリスと知ったときには飛び上がって喜びました。
映画では重厚な雰囲気を見事に演出していて,素晴らしい出来映えでした。当然,サウンドトラックアルバムが出たら買うつもりだったのですが,いつまでたっても発売されません…。なんと,ヴァンゲリスの意向で発売中止…。すごいショックでした…。

どうしてもサントラレコードが欲しかった私は,『もしもブレードランナーのサントラレコードがあったら…』 という設定で架空のレコードジャケットを制作したのでした。

ニセモノ


オーケストラ版レコードと後に発売されたサントラCD
 
アメリカのレコード会社が言い訳のように出したお手軽なオーケストラ版ではヴァンゲリスのシンセサイザーの荘厳さを再現するのは不可能です。でも,これしかないし…。
そんなファンの期待に応えてくれたのか,かなりの年月を経て,ようやくオリジナルサウンドトラックCDが発売されました。映画には使われていないオリジナル曲を加えて,一つの世界観を創りあげていました。もちろん私の愛聴盤です。
2007年になって,ようやくオリジナル・サウンドトラック盤のCDが発売されました。苦節うん十年…。
長かった…。
2008年には,よりグレードアップされたサントラ盤が…。


ヴァンゲリス 「ブレードランナー」
オリジナル・サウンドトラック
<25周年記念エディション>
  登場人物(登場アンドロイド)の版画を制作しました。 
ロイ・バッティ
(ルトガー・ハウアー)の肖像
ロイ・バッティ
(ルトガー・ハウアー)の肖像

「ブレードランナー」 のビジュアルにインスパイアされたCG作品を制作しました。
Progress city T
Progress city U
Progress city V
Progress city W
Progress city X
 
一時は闇の世界に葬り去られたと思われた 「ブレードランナー」 でしたが,ビデオ化された頃から口コミ等で 「やっぱりあの映画は凄いぞ」 てな感じで評価が高まってきました。
そして,いつしかカルトムービーとしての確固たる地位を獲得したのでした。

熱心なファンの要望に応えてくれたのでしょうか。ガレージキット屋さんのゼネラルプロダクツから憧れのポリススピナーが発売され,迷わず購入しました。
(作るのがもったいなくて未だに新品!)
   
初公開版では,とってつけたようなラストシーンが追加されたり,無理矢理ハリソン・フォードのモノローグが取り入れられたりと,監督の意向を無視して映画会社の方針が反映された作品となりました。
しかし,後に 「ブレードランナー」 の価値が認められるようになってリバイバル公開されることがきっかけとなって,リドリー・スコット監督によるディレクターズ・カット版(最終版)が制作されました。もちろん映画館に見に行きましたよ。
個人的には初公開版の方が好きなんですけどね…。

ディレクターズカット版DVD
  「ブレードランナー」 の販売メディアに関する情報は下記のサイトが参考になります。
http://www.ld-dvd.2-d.jp/gallery2/hikakubureran.html
 


初公開からウン十年以上経った今も 「ブレードランナー」 の価値は色褪せることありません。
多くの評論家が研究本を出版しています。興味の出た人は一読をオススメします。

メイキング・オブ・ブレードランナー
(ポール・M・サイモン,ソニーマガジンズ)

〈映画の見方〉がわかる本
80年代アメリカ映画カルトムービー篇

ブレードランナーの未来世紀
(町山智浩,洋泉社)

映画学特別講義
『ブレードランナー』論序説
(加藤幹郎,筑摩書房)

 
2007年のことです。
映画に登場する飛行メカ 《ポリス・スピナー》 は私が師と仰ぐシド・ミード画伯のデザインなので,大のお気に入りです。上で紹介したガレージキットは素人が制作するにはハードルが高すぎたので,てっとり早く完成品が欲しいと思っていると…DVDセットのオマケについていました。
迷わず…いや…少し迷いましたが…購入しました。

Police spinner
その後,ブルーレイにオマケでコンセプト・スピナー(シド・ミードの原案デザイン)が付いていたので,ついつい買っちゃいました。
コンセプト・スピナーのオマケ付きブルーレイセット
2017年のことです。
「ブレードランナー」 の続編 「ブレードランナー2049」 が公開されることになりました。
まさか,生きている間にこんな日が来るとは…。うれしさのあまり,欲しかったのに購入をためらっていたものを衝動買いしてしまいました。
新たに手に入れたのは,ブルーレイBLADE RUNNER COLLECTOR'S BOXのオマケのポリス・スピナーです。スピナーが大きいのでブルーレイの方がオマケのようです。


ブルーレイのオマケ付きポリス・スピナー
フジミ模型の1/24ポリス・スピナーも手に入れちゃいました。
さあ,作るぞ〜っ!とはりきって製作にとりかかった私でしたが,最後にプラモデルを作ってからウン十年という歳月が流れ,すっかり模型作りのノウハウを忘れていました。
おまけに,老眼鏡をかけないと細かいパーツが見えないし…。
いつ完成するかわかりませんが,完成したらこのページで紹介しますので,お楽しみに〜(笑)。



  2017年10月26日…待ちに待った本が発売されました。
『別冊映画秘宝ブレードランナー究極読本』 です。



この本の中に私が制作したニセモノのサントラレコードのジャケットと一連の騒動が紹介されています。
p169〜p170です。
実はサイトに掲載していた記事をネットで見つけた関係者の方から掲載の依頼を受けていたのです。
半信半疑でしたが,本当に実現してしまったので驚いています。掲載していただきありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。
  そして,2017年10月27日…「ブレードランナー2049」 が日本で公開されたのでした。

 
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